秋が近づいてくる9月末から10月にかけて、街中にある街路樹のイチョウ(銀杏)が黄色く色づき始めて、、、ギンナン(銀杏)が落ちてきて、すごいニオイを撒き散らしてくれます(笑)
近くのスーパーに買物にみんなで行ったときに「なんでギンナンはこんなに臭いのに、街路樹にいっぱい使うの?」と聞かれて、「みんな真っ直ぐに伸びるし、いい感じに日陰ができるからじゃない?!」と、適当な返事をしてみたのですが、、、気になって調べてみたら、全っ然違いました!!(笑)
いくつか理由はあるのですが「火に強い!」っていうのは、知らなかった! それに街路樹としての高木で数が1番多かった!
日本の街路樹になっている樹木の種類
ちょっと調べてみたら、国土交通省の国土技術政策総合研究所(国総研)が、『わが国の街路樹』という調査で、平成 29 年 3 月 31 日現在の動向を『わが国の街路樹 Ⅷ』にまとめてあることがわかりました。
「第1章 道路緑化樹木現況調査」の中を確認してみたら、P23に『全国の樹種別高木本数上位 20 種』の図表を見つけました。
イチョウ(銀杏)は、日本で一番多そうな『桜(サクラ類)』を抑えて、堂々の一位でした(笑)
イチョウ(銀杏)が選ばれる理由
この資料の中に「まとめ」として、公開されているなかに以下がありました。
3)まとめ
・・・<略>・・・
これらの樹種が多く使用される理由としては、都市部の道路車道横という植物の生育環境としては不適な場所であっても比較的良好な生育が望めること、強剪定後にも萌芽力を有すること等の強健さや、花の美しさや紅葉の彩りにより都市景観に華やかさが増すことなどが考えられる。
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引用元:わが国の街路樹 Ⅷ/ 1-22 |わが国の街路樹 Ⅷ 本編
さらに「第2章 道路緑化樹木の推移」の「2.3.2 樹種の推移」の資料を見てみても、1987年から2017年まで7回連続で30年間ダントツの1位です!!!
30年間もずっと1位って、すごすぎる!
なぜこんなに使われるのか調べてみると色々理由が出てきました。
火に強い
関東大震災の大火の後に多く植えられたともいわれていて、イチョウは火に強く、防火帯(火を防ぐ帯)としての役割を期待されたそうです。
その理由は、イチョウの樹皮はコルク質が発達しているので耐火性があり、幹や葉は多くの水分を含んでいるため「大火の際にはイチョウは水を吹く」という言い伝えも、古くから日本各地に多く残っているほどだそうです。
また樹芯(じゅしん)という樹木の最上部が強く、少々のことなら焼けても枯れずに、また芽を出してくるみたいです。
病害や虫害がほとんどなく、大気汚染や排気ガスに強く、剪定後にも萌芽力(ほうがりょく:芽吹いて生長する力)がある
「イチョウ」は、病害虫に非常に強くて、無農薬でも問題無く育ち、枝を払った切り口からもあまり病気にならないようです。
また大気汚染や排気ガスに強く、剪定後にも萌芽力(ほうがりょく:芽吹いて生長する力)があるという情報が色々出ているのですが、、、理由がなかなか見つからない。。
でも頑張って探したら、独立行政法人環境再生保全機構が公開している「大気浄化植樹 マニュアル 2014年度 改訂版」 で、調査されているデータを発見しました!
「イチョウ」は、大気浄化能力は小さいものの、大気汚染耐性は強いので、幹線道路の沿道などの大気汚染濃度が高い場所では浄化能力が多少低くても大気汚染に対する耐性の強い樹種を選定するほうが望ましいと考えられるので、銀杏が選ばれている理由のようです。
美しい見た目
イチョウ並木は、全国的に色々な場所にあるので一度は見たことがあるのと思うのですが、イチョウは上から徐々に紅葉していき、葉が周囲から黄色くなります。
イチョウは、夏は緑に茂って、秋には紅葉するため、四季を感じることが各地の街中でもできるので、日本人の情緒にあっているのかもですね。
長寿である
樹齢1000年以上のものもあり、兵庫県佐用郡佐用町には佐用の大イチョウ(県指定天然記念物)という大木があるそうです。
またその生命力の強さからもイチョウ(銀杏)の花言葉は「長寿」だそうです。そして神社などにも植えられていることが多いことから、「荘厳」「鎮魂」というのもあるそうです。
そもそもイチョウ(銀杏)とは?
街路樹でたくさん見かけるイチョウ(銀杏)ですが、調べてみたらいろいろ知らないことがあったのでまとめてみました。
イチョウの漢字は『銀杏』で、ギンナンの漢字も『銀杏』(諸説あるようです。)
「イチョウ」という名前は、葉がアヒルの足に似ていることから「鴨脚」の中国語読み「イーチャオまたはヤーチャオ」として、平安時代に日本に伝わったそうです。それが変形していって「イチョウ」になったみたいですね。(諸説あるようです。)
「ギンナン」という名前は、実の形が「杏(あんず)」似ている銀白色の実であることに由来し、「銀杏(ギンナン)」と呼ばれるようになったと言われているようで、その「銀杏(ギンナン)」がなる木=「銀杏(ギンナン)の木」になります。
そして「イチョウ」も「ギンナン」も元々は中国語が由来のようですが、同じ植物を指す2つの名前が日本にやってきたら、ガッチャンコされてしまったようで「銀杏の木」=「イチョウの木」になったために、イチョウ(銀杏)もギンナン(銀杏)も同じ漢字になったっぽいです。(諸説あるようです。)
ちなみに学名は『Ginkgo biloba』で、英語だと『ginkgo』や『Maidenhair tree(乙女の毛の木)』というそうです。
雌雄異株の風媒花
「イチョウ」は、雌雄異株といって、木自体が雄と雌に別れているそうです。
なので、ギンナンがいっぱい落ちているところと、イチョウがあるのにぜんぜんギンナンが落ちていない場所があるんですね。
雄と雌の違いが分かるのは、ある程度成長して花が咲いたときなので、幼木を植えたときには区別がつかないそうです。
なので、ギンナンの実が落ちない雄株だけ街路樹に使えば良さそうですが、難しいみたいですねぇ〜。
そして風媒花というのは、風の媒介(ちからによって)によって受粉が行われる花だそうです。もう1つ有名や方法は、虫によって花粉が運ばれて受粉する虫媒花があるそうです。
特徴としては、虫を呼ぶ必要がないので、花は美しくなく、芳香や蜜(みつ)の分泌もないので、目立たない花をつけるものが多いみたいです。
挿し木や接ぎ木で繁殖可能
ギンナン(銀杏)がイチョウの種(たね)になるので、ギンナンを植えて増やすことができるそうですが、挿し木や接ぎ木でも繁殖させることが可能で、そのほうが育てるのが早いため、近年は挿し木や接ぎ木で繁殖させることが多くなったそうです。
挿し木や接ぎ木であれば、雄株とわかって育てることができるので、ギンナンのニオイ対策もできるそうです。
野生のイチョウは絶滅危惧種
日本で一番多く街路樹に使われているイチョウですが、国際自然保護連合(IUCN)が、野生のイチョウを「絶滅危惧種(Endangered)」に分類したそうで、野生のイチョウは中国にわずかに存在するだけと考えられていんだそうです。
さらに、米ノースダコタ州で出土した化石から、イチョウ(学名:Ginkgo biloba)は6000万年もの間、現在の形のまま存在していることがわかっているそうで、同じような遺伝子を持つ先祖は、1億7000万年前のジュラ紀にも存在していたんですって!
なので、イチョウは「生きた化石」と呼ばれています。
ギンナンは食べると美味しいw
道に落ちていると、果実の部分が独特の匂いを発してとっても臭いのですが、種の中にある身は美味しいです。
ちなみに強烈な臭いを持つ種子は、酪酸を含む肉質外層に包まれていて、酪酸は人間の嘔吐(おうと)物の特徴的な臭いでもあるそうです。。なので、臭いんですね。。
そして素手で触れるとかぶれや炎症を起こすこともあるので、ギンナン集めをするときは注意が必要です。
で、そんなギンナンが落ちているイチョウの街路樹を見上げると、
かなりの数のギンナンがなっているのがわかります。
この臭い「ギンナン」を食べれるようにするには、何度も水洗いをして果肉を丁寧に取り除きます。
ただ、果肉が簡単に取れないことがあるので、そんなときは袋などにまとめて軽く踏み潰してあげると簡単でいいそうです。
そして、よく洗ってキレイになった「ギンナン」は、数日天日干しをしてあげれば食べられるギンナンが完成!
紙袋に「ギンナン」と塩を入れてよく振ったら、電子レンジで2〜3分加熱するだけで、美味しく食べれます。
ちなみに紙袋に入れるのは、レンチンしたときに硬い殻が、パチって割れて飛んだりするからです。
秋になるとギンナン(銀杏)の臭いがすごいのに、街路樹にイチョウ(銀杏)が多い理由とは? のまとめ
わからないことが多い銀杏でしたが、調べてみれば色々情報が出てきて、街路樹にたくさん使われている理由がわかりました。
元々は、火に強いところがメインであったようですが、大気汚染や排気ガスに強く、病害や虫害がほとんどないうえに、長寿で萌芽力もあるので、街路樹を管理する自治体にとっても利便性が良かったようですね。
それに街中であっても、四季を感じられるのは、街路樹としては景観が良くなるから良いですよね。
唯一のデメリットである「ギンナン(銀杏)の臭い」に関しては、メリットのほうが大幅に上回っているから目を瞑られているんだろうなぁ〜ってところですかね。
次からは、子どもたちにも奥にもちゃんと説明しよぉ〜♪
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